劇団及び公演運営におけるハラスメント対策について

 

2023/06/01

 演劇企画アクタージュ制作部

このページは、演劇企画アクタージュが主催するすべての公演におけるハラスメント対策を記します。

本運営方針およびハラスメント対策について、ご不安な点やご質問、追加事項などのご意見がございましたら、劇団までご連絡をお願いいたします。
ハラスメントの概念やそれに基づく動態は、今後の社会状況によって変化していく可能性がありますので、その都度、関係者等の方々からの意見をお聴きしながら見直し、必要な改訂を行なっていきます。

本対策作成の目的は、心理的安全性が担保された創作環境の実現にあります。ハラスメントの定義や対策を明文化し、劇団員・公演iに参加する方(以下、参加者)へ共有することで、それぞれがハラスメント防止の共通認識を形成し、ハラスメントに対して早急かつ適切な対応を行うことで、すべての関係者が安心して創作に専念できる環境づくりを目指します。
この「ハラスメント対策」は劇団員を含む、公演の運営に参加いただく方々および、オーデイションに参加する方(以下、参加者)に一読いただくものとします。参加者は、内容を確認のうえ、質問や追加事項の意見がある場合は、主宰(大関)および劇団員まで相談ください。

演劇企画アクタージュ 劇団・公演運営におけるハラスメント対策方針

演劇企画アクタージュは、次項のガイドラインに則り劇団・公演運営を行います。
下記のガイドラインに則っていない振る舞いをする参加者を発見した場合や、お困り事・不安に思うことがある場合には主宰もしくは各劇団員に相談してください。
また、劇団内で相談しにくい場合は、下記外部相談窓口に直接ご相談いただくことも可能です。お困りの際には、まずは信頼できる相手へご相談ください。

外部相談窓口:舞台芸術関係者向け性暴力・ハラスメント相談窓口リスト

ご相談をいただいた際は、相談者・行為者等のプライバシー保護に注意を払いつつ、ハラスメント被害の内容や状況に応じ、行為者に対し改善を働きかけます。
また劇団内部での解決が難しいと感じられた場合には、相談者の合意の上、外部相談窓口への相談を行うなどの措置を行い、全力でハラスメント被害の解決に取り組みます。
なお、上記の措置を講じても改善が見られない場合には、公演を中止することもございますが、適切な公演運営のために必要な措置となりますので、ぜひご遠慮なくご相談いただければと思います。

劇団・公演運営におけるガイドライン

・優位的な立場、対等な立場、あるいは下位の者からでも威圧的な態度、暴言を禁止します。
・他人の外見に関する発言、性的な冗談やからかい、あらゆる差別的言動を禁止します。
・演出・演技指導、参加者同士の稽古においても不必要な身体への接触を行わず、必要な際はお互いの了解を得るようにしてください。
・他人のプライベートは、親密度と関係なく、むやみに詮索しないでください。
・稽古場では、演出家と俳優が1対1にならないよう、できるかぎり劇団側が第三者の参加を手配します。また、俳優側も任意で第三者の稽古への同席・見学をできるものとします。
・コミュニケ―ションのなかで、自身の言動に対して相手が不快感をもち、拒否の意思を表明した場合には、自身が意図した背景に関わらず、謝罪をしてください。
・パワーハラスメントやセクシャルハラスメント等、あらゆるハラスメントの被害と思われるもの、違和感を覚える言動等を目撃したときは、悩まず、まずは相談窓口等へお知らせください。

ハラスメントについて

参加者は、ハラスメントを行わないよう注意して公演に参加してください。また、参加者がハラスメントをしていると感じられた際には、相談窓口等へご連絡をお願いいたします。

-ハラスメントの定義と事例-
ハラスメントとは、他者の尊厳を傷つける言動の総称です。他者に不快感や不利益を与える言動はハラスメントに該当し、行為者の意図とは関係がありません。行為者に悪意がなくてもハラスメントと認定される場合があることに強く留意願います。被害者が「ハラスメントだ」と感じたらハラスメントとして認定されるという意味ではなく、「放置していては大きな問題になりかねない」「極度な不快を与えている」「刑法上の犯罪である」といった種類のものを防止するために明文化します。

実際に起こり得る可能性のあるハラスメントを下記に記載しますが、この他にも様々な言動・行為がハラスメントになり得る可能性を持っていますので、十分に考慮ください。

a:パワーハラスメント(モラルハラスメント)
パワーハラスメント、いわゆる「パワハラ」は和製英語で、「自らの権力や立場を利用した嫌がらせ」と定義される場合がほとんどです。
モラルハラスメント、「モラハラ」はモラルによって行われるハラスメントであり、暴言・無視・叱責・脅し・侮辱・プライバシーの侵害などを指し、広い意味でパワハラと同一視されてます。ここでは厳密な定義は避けて、これまで国内で使われてきた幅広い意味で「パワハラ」としてその具体れを下記に明示します。

・精神的な攻撃、および脅迫。
・差別発言や、差別の扇動。
・殴る真似をする疑似暴力や、壁や机などを叩いたり蹴ったりする威嚇。
・人格や能力を否定するような言葉を用いる。
・出身や学歴など、業務と無関係なことを非難する。
・相手のキャリアを否定するような発言をする。
・相手が学んできた演劇の方法論を頭ごなしに否定する。
・小さなミスに対して必要以上に厳しく叱責したり、長時間叱責したりする。
・相手を回復不可能なまでに傷つける言葉や態度による暴力。
・根性論、精神論のみに頼る暴力的指導を行う。
・座組や不特定多数のいるLINE、掲示板等で個人を罵倒する書き込みをする。
・個人の秘密を暴露する。

b:セクシャルハラスメント
セクシャルハラスメント、「セクハラ」は文字通り性的な嫌がらせを意味します。単なる嫌がらせでなく、「優位な地位や力関係を利用して行われる、相手の望まない性的な言動・行為によって、相手に対して不利益を与えたり不快な思いをさせること」と定義されます。演劇制作の場合では、「女性の多い現場であること」「同じ空間で表現活動を行うこと」「本人の価値観と関係なく性的な言動・行動が劇中に描かれること」「降板してしまうと集団に何かしらの迷惑がかかること」「打ち上げなど、酒席にも同席せざるを得ない局面が多いこと」「演劇界全体として、権力・優位な地位を持つ人間に男性が多いこと」などから、セクシャルハラスメントに対しては一般企業よりもさらに厳しい基準で接することとします。

・性的な関係を強要する。
・相手に断られているのに、理由をつけて何度も二人きりになりたがる。
・電子メール、SNS、電話などでしつこく付きまとう。
・相手の同意なく、不必要に身体に接近したり接触する。
・ヌードや裸体に近い画像や写真を目に入りやすい場所に配置する。
・相手の容姿や身体的特徴などを話題にしたり、からかったりする。
・事前の同意取得なく恋愛経験や性体験について急に持ち出したり、尋ねる。
・個人の能力に関係なく、性別役割分担意識に基づいた発言や指示をする。
・卑猥な冗談を言う。
・相手の事前の同意なく、性的な表現を強要する。
・必要以上に身体を触りながら、指導や演出をする。
・帰りにタクシーや自家用車で送り、車内で身体を触る。
・性的な風評を流す。
・更衣室を覗き見する。
・不必要に帰宅ルートを合わせる、追尾する。

ハラスメント被害、あるいは風評が流れた場合、それが処分の緊急を要する場合を除いては、劇団内全体に対してまず警告を出すようにします。
小さな集団においては、被害者、加害者が特定されやすく、風評をもとに安易に判断をくだすと混乱のもととなるためです。又、被害者が二次的被害を被ることを防ぐためでもあります。
この時点で状況が改善され、ハラスメントがなくなれば、これで問題はいったん処理されたと考えます。
いずれにしても、ハラスメントへの対応は、被害者、申告者の意思を重視し、それを越えて処分などを行うことはありません。
それでもハラスメントが続くようならば、個別に警告し、さらに被害者、加害者から正式にヒアリングを行い裁定をくだします。

そのほか何か不安に思うこと、疑問に思うことがあれば、小さなことでも良いので、主宰もしくは相談しやすい相手に尋ねてください。

本ガイドラインの最大の目的は、キャスト、スタッフ、観客、関係者すべてが安心して創作・制作・観劇ができるようにすることです。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

連絡先:https://actage.net/mail/

演劇企画アクタージュ 制作部